無頭騎士団
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8174の防音人型実体収容ユニット#7491に収容されています。SCP-XXXX-JPの情報に触れる全職員は、クラスW記憶補強薬の継続服用を行う必要があります。また、SCP-XXXX-JPの音声を聞く可能性のある職員には、試験的対抗ミーム-XXXXの摂取が義務付けられています。SCP-XXXX-JPからの全ての要求は全て却下されなければならず、その発言は全て虚偽として扱われなければなりません。

SCP-XXXX-JP-1は原則終了されます。特筆すべき特性を示した個体が確認された場合、その個体のみサイト-8174の標準人型実体収容ユニットに収容します。

説明: SCP-XXXX-JPは頸部までの身長が156 cmである、モンゴロイド男性と思われる人型実体です。頸部から上が存在しておらず、断面部の血液は既に凝固しています。このような状態にあるにも拘わらず、断面部からは人間の声と思われる音声が発生することがあり、SCP-XXXX-JPはこれを用いて発言や会話を行います。摂食や排泄を行わない点を除いて、SCP-XXXX-JPの生活パターンは非異常性の人間のものとの差異がありません。

SCP-XXXX-JPの発言を聞いた人物(SCP-XXXX-JP-1に指定)は頸部から上が消失します。SCP-XXXX-JP-1は、SCP-XXXX-JPと同様の特異性を有していることが判明しています。加えて、SCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JP及び他のSCP-XXXX-JP-1の発言を肯定し、それ以外の情報を否定する傾向がありますが、SCP-XXXX-JP及びSCP-XXXX-JP-1の発言を否定する個体も確認されています。これらの実体の発言は、虚偽或いは論理的に破綻したものが大半を占めています。特筆すべき点として、これまで確認された全ての事例において、多くのSCP-XXXX-JP-1はSCP-XXXX-JPから半径約5.0 m以内で発生しています。

SCP-XXXX-JPとSCP-XXXX-JP-1の異常な身体状況にも拘わらず、これまで確認された全ての目撃者は予想される情動反応を示しませんでした。これは、これらの実体がクラスC認識阻害に相当する精神影響特性を有している為であると推測されています。

補遺1-歴史: 地方統一選挙が開催されていた2019/04/02、あるインシデントを受けて実施された監視カメラ映像の審査の中で、SCP-XXXX-JP及び37体のSCP-XXXX-JP-1が確認されました。同年04/01に記録された当該映像において、SCP-XXXX-JPは黒いスーツを着用し、神奈川県横浜市の山下公園で演説活動を行っていました。翌日04/03、派遣された機動部隊が山下公園内で待機していたところ、当該公園内の別の地点にて演説を開始したSCP-XXXX-JPが発見されました。要請を受けた機動部隊らが現場へとかけつけ、SCP-XXXX-JPやSCP-XXXX-JP-1の確保、目撃者や関係者への記憶処理を行いました。この中で、6名の隊員がSCP-XXXX-JP-1に変化しました。

周辺の監視カメラの映像から、SCP-XXXX-JPはこれまで3回演説活動を行っており、確認できる限りでは███体のSCP-XXXX-JP-1が発生している事実が判明しています。財団は現在149体のSCP-XXXX-JP-1の発見と終了、及び関係者への記憶処理を行っています。SCP-XXXX-JPの着用品や所有物はほぼ全て近隣の6つの店舗から万引きしたものであり、店員はこの事実を認識していませんでした。その由来が判明していないのは、SCP-XXXX-JP自身と、以下の内容のプラカードのみが入れられていた革製のビジネスバックのみです。「田中河津」という名前の人物は戸籍上に存在しませんでした。

「脳なしと脳なしと脳なしと」
田中河津、2019

補遺2-インタビュー記録:

対象: SCP-XXXX-JP

インタビュアー: 三歳(みとせ)研究員

付記: 本インタビューは、財団の人型実体尋問マニュアルに従っておこなわれたものです。

<録音開始>

三歳研究員: それでは、インタビューを開始します。まず、あなたは何故演説をしていたのですか?

SCP-XXXX-JP: 決まっているとも。私は、日本の未来を変えたかった。特に、現代は俄然知性主義だ。だから、私は今こそ反知性主義の旗を振り、知性無き政治を実現しようとした。

三歳研究員: わかりました。では、何故あなたには頭部がないのですか?

SCP-XXXX-JP: 簡単なこと。私は反知性主義者だ、頭部なんてなくて然るべきだろうに。

三歳研究員: なるほど。 あなたは何故万引きを行ったのでしょうか?

SCP-XXXX-JP: バカげていると思うかもしれないが、その……金がなかったもので。まあ、未来ある世を作る為には仕方のないことだろう。

三歳研究員: そうですか。

SCP-XXXX-JP: ……少し疲れてしまったんだが、次は何を訊くのかね?私の由来についてでも?

三歳研究員: 結構です。あなたの発言は全て虚偽として扱われます。

SCP-XXXX-JP: ん? [小声で] ……そうか……。 [元の声量で] なら、他に話すこともないな?私には1つ話したいことがあるのだが──

三歳研究員: いえ。ここでインタビューを終了します。

SCP-XXXX-JP: [笑い] そうだな、それがいいだろう。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、SCP-XXXX-JPは元の収容ユニットへと連れ戻された。なお、上記内容はSCP-XXXX-JPに実施された唯一のインタビューである。

スポイラー:

  1. SCP-XXXX-JPには「自身から5.0 m以内の人物をSCP-XXXX-JP-1に変化させる」特異性もある。
  2. SCP-XXXX-JP-1は思考能力が低下しており、情報源のみを理由に情報を肯定/否定する性質がある。
  3. サイト-8174の全職員はSCP-XXXX-JP-1に変化している。職員の場合は、特別収容プロトコルを肯定してこれに従い、SCP-XXXX-JPの発言内容を否定しこれとは逆の行動をとっている。インタビュー中SCP-XXXX-JPはこの事実に気付き、三歳研究員にインタビューを中断させた。
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